●野生のニホンミツバチを捕まえよう。【準備編】
【シリーズ】趣味のニホンミツバチ養蜂の今回は、野生の日本みつばちを捕まえよう!です。
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日本みつばちは、春の3月中旬から5月上旬ごろ、新たな女王蜂が誕生すると、今まで、その巣にいた母親女王蜂は、群れの半分ほどの働き蜂を引き連れて、新たな住処に引っ越しをします。この一大イベントを分蜂(ぶんぽう)と言います。
日本みつばちを飼育する上で、最大の楽しみは、この分蜂をしたみつばちの群れが、自分の設置した待ち箱という巣箱に入居した時でしょう。
誰もが、その瞬間を見つけると、誰もいない人里離れた山の中で、つい、ガッツポーズをしてしまうことでしょう。
ちなみに、一度分蜂をすると、早ければ翌日。もしくは、1~2週間後には、第2分蜂、第3分蜂と続くのが、一般的です。
もちろん、中には、分蜂しない群れや5回程分蜂する群れもありますが、ほとんどが、2~3回と言われています。
でも、そもそも、待ち箱を設置する周辺に日本みつばちはいるのか不安ではないでしょうか?。実際に、日本みつばちが花壇や野原で飛び周っているのを見かけたことなどほとんどないですよね?。
それと、見つけたとしても、見慣れていないと日本みつばちとセイヨウミツバチの区別も難しいものです。
でも、ご安心ください。
日本みつばちは、沖縄、北海道、一部離島を除く、日本列島の広い範囲で生息しています。
もちろん、都心部でも生息していて、皇居の中でも日本みつばちを飼育しているという話も聞いたことがあります。また、テレビ番組の鉄腕ダッシュでも、新宿の屋上で飼育されているくらいですからね!?
ということで、春のぶんぽうの時期までに、しっかりと準備をすすめていけば、あなたも、来年には、ニホンミツバチライフを満喫出来る事でしょう。そのために、この動画を配信した10月の今では、まだ、ちょっと早いですが、滞りなく準備が出来るように、今から始めていきましょう。
それでは、その具体的な準備の進め方をご紹介します。
野生の日本みつばちを捕獲するための準備。
野生の日本みつばちを捕獲するためには、このようなものが必要となります。
「待ち箱」・「蜜蝋」・「キンリョウヘン」、もしくは、「人工誘引剤」、そして、日本みつばちが生息しているような場所。
以上の準備が必要です。それでは、それらをひとつずつ、くわしく説明していきましょう。
・待ち箱
待ち箱は、その名の通り、分蜂した日本みつばちの新たな住処となる巣箱です。
日本みつばちは、分蜂の時期が近付くと、探索蜂という専門部隊が、住み心地の良さそうな新たな住処をいくつも探し回ります。
そして、めぼしい住処を見つけると、一度、巣に帰り、こんなところを見つけたけど、どう思う?。と、他の仲間に知らせます。
そして、それを聞いた仲間は、その場所を内検しに出かけます。そのようなことを何度も繰り返し、いくつもの候補の中から、一番住みやすそうな場所を決めると、群れの半分の仲間と、今まで住んでいた女王蜂を引き連れて、新天地へと飛び立ちます。
しかし、実は、巣を飛び立った後に、最終点検をしているのかどうか、近くの木の幹などに、一度塊を作り、数時間から、長いときには数日間、じっととどまることがほとんどです。この状態が、ニュースなどで放映される、都会に出現したハチの大群。と言われている状態なのです。
この待ち箱を含む、重箱式巣箱の作り方の動画は、このページの下部のリンクからご覧いただけますので、一度、ご視聴してみてくださいね。また、作成時間が取れなかったり、DIYに自信がない方には、当店でも販売していますので、ぜひ、ご検討ください。
そして、とても重要なのが、この待ち箱を含む重箱式巣箱は、短くても1カ月間は、雨ざらしにしておくことをお勧めします。日本みつばちは、生木の匂いなどが残る巣箱を嫌うという事ですので、捕獲の準備の中では、この巣箱の用意が一番初めに終わらせておきたい項目となります。
・蜜蝋
この蜜蝋は、待ち箱の巣門やその周り、天井のすのこ、底板、内部などに、たっぷりと塗るために必要です。
その理由は、日本みつばちは、新たな巣を探すときに、すでに、他の日本みつばちの群れが、住み着いたことのある場所を好むからと言われています。
人間でいうと、真新しい新築物件よりも、中古物件を好むという事ですね!?
この蜜蝋を、ミツバチの来そうな場所に待ち箱を置く一週間前くらいに、たっぷりと塗っておきます。
日本みつばちの飼育をはじめて、採蜜を経験したことのある方は、採蜜した後の巣くずから抽出して、次の春に、待ち箱用として使うことが出来ますが、初めて、待ち箱を置くという方は、ヤフオクやメルカリ等のフリマサイトで、にほんみつばち、蜜蝋と検索すれば、見つかると思います。また、当店でも、販売していますので、ぜひ、ご検討ください。
ちなみに、待ち箱を3から4箱用意するなら、50gもあれば、十分でしょう。
・キンリョウヘン
キンリョウヘンは、中国原産のラン科、シュンラン、シンビジウム属の植物です。
その花は、日本みつばちだけを誘引するフェロモンを発することで、受粉が出来るような特せいを持っています。その特性を利用し、待ち箱と共にキンリョウヘンを設置して、分蜂群を捕獲することになります。
また、同じような特性を持った花には、ミスマフェットや、フォアゴットンフルーツ、デボニアナムなどがあります。
ただし、ミスマフェットに関しては、誘引効果があまりにも強力すぎて、待ち箱には見向きもせず、気が狂ったように花の周りに集まってしまうという事があります。
しかしながら、大きなホームセンターの園芸コーナーでは、キンリョウヘンよりも、ミスマフェットやフォアゴットンフルーツのほうが、若干、お安いような気がしますので、どの誘引花が良いのかは、簡単に選べないような感じですね。
そして、これらの誘引フェロモンを発する開花時期は、2~3週間程度なので、日本みつばちの分蜂時期の1ヶ月半近くの期間をカバーできません。
ベテランの方などは、前年より開花調整をしながら、早咲きや遅咲きの区別をつけて栽培しているとのことですが、これは、なかなか難しいものです。
そこで、最近では、その誘引フェロモンを人工的に合成した「待ち箱ルアー」や、「ミツバチこいこい」などの人工誘引剤なるものが、販売されています。
・人工誘引剤
人工誘引剤は、現在、大まかに、2種類の商品がネットで販売されています。
販売数が一番の、週末養蜂さんが販売している「待ち箱ルアー」。そして、いろいろな販売者がいる「ミツバチこいこい」があります。
本家?待ち箱ルアーは、ミツバチこいこいよりも、1000円ほどお高いですが、誘引成分は、圧倒的に数が多くなっています。
そして、重要なその効果ですが、やっぱり、正直なところ、本物のキンリョウヘンよりは劣るような気がしています。
それでも、キンリョウヘンの開花時期が、ミツバチの分蜂時期に間に合わなかったり、途中で枯れてしまったりした時の補助的な役割りとしては、十分に効果を発揮してくれます。
お安い買い物ではありませんが、是非、試してみてくださいね。
・場所選び
場所選びは、日本みつばちが、本島のどこにでもいると言っても、やはり、自然の多い環境のほうがその数は多いと思います。
また、過去には、同じ地域で、すでに日本みつばちを飼育しているかたの群れから、分蜂をし、自分の待ち箱に住みつくという事例も数多くあります。
逆に、市街地で飼育していると、ご近所の庭や公園の花壇や草花、街路樹というのが、思った以上に日本みつばちの蜜源となり、また、田畑のある郊外と違い、ミツバチを全滅させてしまう農薬散布の、ほとんどないことから、野山に置いている日本みつばちの群れよりも、元気だったりします。
はい!
何言ってるのか、わからないですよね!?
そうなのです。
自然界に生息している野生の日本みつばちは、かなりの気まぐれ屋さんで、どこにでも住むことが出来るし、今よりももっと良いところを見つけると、さっさと引っ越しをしてしまいます。
それでも、長年の先人の蜂飼いさん方の経験則から、以下のような場所を好むというのがわかっています。しかし、これは、先にもあげたように、確実ではありません。実際に、WABACHIでも、初めて待ち箱を設置し始めてから、捕獲まで2年の月日を費やしました。
ある意味、運任せのところもあるので、気長に待ちましょう。それで、待ち箱を設置して、数日、数週間で、入居してくれたら、すごくうれしいですからね。
待ち箱を置く場所のポイントは。
・待ち箱の前の見晴らしがよい。
・車や人通りの少ない静かな場所。
・広葉樹などの下で、夏は木陰となり、冬は日当たりが良くなる場所。
・長い時間、直射日光が当たらない場所。
・強い風が当たらない場所。
・巣門を東、もしくは、南向きで置ける場所。
・できれば、近くに、田んぼやゴルフ場のような除草剤・農薬などを使う場所を避ける。
など、気にするとキリがありませんが、なるべく、これらの条件に近い所を選びましょう。
そして、一つの場所に待ち箱を3箱ずつくらいを3カ所など、出来るだけ多くの待ち箱を、出来るだけ多くの場所に置くと、当たり前ですが捕獲の確率が上がります。
日本みつばちの探索蜂は、そのいくつかの待ち箱の中から、一番住みやすい待ち箱を選びます。その待ち箱に入居をしたら、その群れを他の場所に移動させ、元の場所に、他の場所から持ってきた新たな待ち箱を置きます。
そうすることで、日本みつばちにとって、最適な場所を常に提供できることになります。
これを繰り返すことによって、効率的に、また、日本みつばちが選んだ住み心地の良い住まいを提供し続ける事が出来るようになります。
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